近年、増加している様に感じる自然災害。
その被害の規模や勢いもより大きく強くなってきている様に思えます。
水害による被害もまた、頻繁になっています。
今年の夏は、日本各地で大雨による水害や、台風による水害などで、多数の被害が発生しました。
水害による住宅被害も、ニュースなどで見る回数が増えました。
生活の拠点である家が、全壊や半壊、一部破損又は、床下・床上の浸水などで、突然の被災によって、失われないように、いつもの生活にすぐ戻れるように、新たに家を建てられる方のために、水害に備える一つの手段として、耐水害住宅についての情報を発信できればと思っています。
耐水害住宅にするかどうか迷って集めた情報を「整理・分類・集約」してみると、疑問が6つあることがわかりました。
その疑問を考えた上で、最適な家だったのが、一条工務店で耐水害住宅の浮上タイプでした。
私が考えた疑問を理解していただくことで、正しい判断の材料になると思います。
6つの疑問とは、
1.どこに家を建てるのか?
2.どんな家を建てるのか?
3.どのハウスメーカーで家を建てるのか?
4.なぜ耐水害住宅が必要なのか?
5.いつ家を建てるのか?
6.いくらかかるのか?
以上を判断材料として、解説していきます。
どこに家を建てるのか
水害に備える家を建てる一番重要なポイントは、その建設場所です。
その場所が、水害の被害が起こり得る場所なのか調べる必要があります。
国や各自治体で出されているハザードマップ(水害や地震、土砂災害など自然災害が発生した時に危険と思われる個所や災害時の避難場所などを地図にまとめたもの)を参考にしましょう。
水害のリスクが無い土地に家を建てる事はもちろん正解ですが、一番重要なことは、自分が生活しやすい土地に家を建てる事で、その場所の水害など自然災害のリスクがどれくらいあるのか知る事だと思います。
私も、妻の実家に近く、学校や買い物、仕事環境などで良い土地に家を建てる事にしました。
ですが、ハザードマップで見ると、水害の浸水想定区域0.5m~3m未満の地域になっていました。
家が建つ前にも、台風による水害で 60cm 程水没したようで、近所の家で床上浸水がありました。
100年に一度の水害で、近隣でも初めての水害被害だったようです。
水害のリスクがある事を知って、水害に備える家を建てる最初の理由になりました。
水害が起きる場所が新たに出来る可能性も?
ハザードマップを参考に土地選びをしたとしても、はたして安全でしょうか?
近年では、ゲリラ豪雨、線状降水帯などよく耳にします、観測史上最高を記録することもあります。
側溝から水はあふれ出し、近隣の排水も追いつかない事もあり、あふれ出した水は、周囲からあっという間に集まって、想像を超えるほどの勢いで溜まってきます。
ちょっとした場所にも水害が起こる可能性もあります。
我が家の近所では、線路が高架線路になり、盛り土され壁が出来ました。
ここで、水がせき止められ水害の被害が出ました。
新しく道路が出来たら、自分の家より少し高い位置になるかもしれません。
隣の家が少し盛り土するかもしれないし、壁が出来るかもしれません。
水害が起こる場所が新たに出来る可能性もあり得ます。
今と言うより、数十年後の心配かもしれませんが、現在のハザードマップで家を建てても水害が防げるのかもっとじっくり確認しましょう。
水害リスクを分かった上で
ハザードマップで災害のリスクがある地点はあちこちにあり、そのリスクから外れた場所に家を建てるのは、なかなか難しいと思います。
時には、リスクを受け入れて家を建てる事になります。
まずは、どのくらいの災害の可能性があるのかを知って、どのような備えが出来るのか、どんな家を建てればいいのか考えましょう。
どんな家を建てるのか?
もし、水害のリスクがある土地に家を建てるとしたら、どんな家を建てればいいのでしょう?
私の場合は、親から引き継いだ土地に家を建てる事にしたのですが、数年前に水害があり、その時は60㎝程の浸水被害が起こっていました。
その後、公共工事の河川整備や新たな水路を作ったり、調整池の建設などがあり、水害のリスクは以前より下がりました。
ですが、敷地に60㎝の盛土をして、その上に家を建てる計画をしていました。
さらに、どんな家を建てれば水害に備えられるかと考えてもいました。
そこで、選んだのが水深5mの水害でも浸水しない、耐水害住宅でした。
水害に備える家
家を水害から守る為に、盛り土をして地盤面を上げる方法や、敷地を壁で囲み水の侵入を防ぐ方法を提案してくださるハウスメーカーなどはありますが、これらは、外構工事の範囲なので、結局どのメーカーでも対応可能になります。
水害に備える”家”となると、鬼怒川の決壊で流されなかったハウスメーカーや、東日本大震災で倒壊しなかった鉄骨住宅のハウスメーカーなどが思い浮かびますが、それらの家であっても、水害時の浸水被害は防げるわけではありません。
水害の被害は、全壊・半壊などよりも、床上及び床下浸水の被害が圧倒的に多くなります。
床下浸水に至っては、保険の補償を受けられない場合もあります。
詳しく調べてみると、水害対策に特化した耐水害住宅があると知りました。
一条工務店の展示場で、耐水害住宅の映像を見て、水害が来ても大丈夫な家があるんだと、驚き、興味を持ちました。
では、水害に備える家「耐水害住宅」とはどんな家でしょう?
耐水害住宅とは
水害対策に特化し、唯一、一条工務店で販売している耐水害住宅とはどんなものでしょう?
一条工務店の耐水害住宅は、4つのポイントで水害対策をしています。
- 1.浸水
- 2.逆流
- 3.水没
- 4.浮力
浸水
フロート弁付きの床下換気口、隙間の無い玄関ドア、水圧に耐える強化ガラスの窓・樹脂サッシ、水の侵入を防ぐ壁面防水処理などで、水の入る隙間を無くした「浸水」対策をしています。
水害時にフロート弁が浮いて床下換気口をふさぐ
逆流
排水管に逆流防止弁が付いていて、水かさが増して汚水が逆流した際は、自動で弁が閉じて逆流を防ぎます。
水没
エアコンの室外機や外部コンセント、太陽光の蓄電池やパワーコンディショナーなどを、水没しにくい高さに設置。
また、エコキュートも耐水害仕様で、一部が水没しても稼働できるものが設置されています。
浮力
浸水を防いでいると、ある程度の深さの水位になった時に、建物全体に浮力が生じ、家が浮いて流されてしまいます。
浮力対策として、耐水害住宅の「スタンダードタイプ」と「浮上タイプ」があり、どちらかを選べるようになっています。
スタンダードタイプ
家が浮いてしまう水位になると、床下にあえて水を引き込み、水の重量で家が浮上することを防ぎます。
水位が約1mまで来ると、床下注水ダクトから水が入ります。
(床下注水ダクトの注水水位:1階建て750mm、2階建て1000mm、3階建て1200mm)
水が引いた後は、基礎の水抜き穴から排水出来ます。
浮上タイプ
家が完全に水没するような水害に見舞われても、あえて家を浮かすことで、被害を最小限に抑えます。
浮いた家が流されないように、家の隅などにポールを立てて家を係留しています。
ポールは地中2m程埋まっていてびくともしません。
係留ポールのおかげで、洪水の際は安定して浮き上がり、水が引いたらほぼ同じ位置に着地します。
また、基礎構造も2重基礎になっていて、通常の基礎の下に、もう一つ着地面となるコンクリート基礎があります。
基礎の間に漂流物(土砂や木材など)が入り込んでも、ジャッキアップして取り除くことが出来ます。
我が家は、この浮上タイプで家を建てました。
水害に備える家造りの仕方 4つの対策
水害リスクを意識した家造りで、出来る対策として4つあげられます。
盛り土でかさ上げする
盛り土をして、敷地全体または、建物を高くします。
周りの土地や、道路などより高くすることで、大雨の時に水の流れ込みを減らせます。
また、ハザードマップの浸水想定より高くすることで、浸水のリスクも減らせます。
盛り土のデメリットとして、盛り土の法面が崩れないように、土留めをしたり、盛り土の高さによっては、コンクリートなどの擁壁を設置しなければなりません。
又、盛り土の部分は、地盤が軟弱な事もあり、家の基礎工事で、地盤改良工事が必要になります。
基礎・地盤工事の詳しい説明は、外部仕上げ編で説明してます。
また、盛り土の土の中に異物が混入していたり、水はけの悪い土などで盛り土されてしまう事もあるそうなので、注意が必要です。
高床式にする
家の基礎部分を高くします。
基礎を高くする事で、水害で、より被害が大きくなる床上浸水のリスクを減らせます。
基礎部分の立上りは、地域や土地の状況によって異なりますが、一般的には地面から50㎝程度が目安とされています。
髙基礎にして、地面から1m程度の立上りを作る事で、外壁などへの雨はねを軽減でき腐食を抑えたり、シロアリなどの被害も減らすことが出来ます。
さらに、床下点検のしやすさや、床下収納も広く出来ます。
デメリットは、床下浸水は防げない事と、やはり費用がかさむこと、髙基礎は、その高さなどにもよりますが、一般の基礎より丈夫にする必要があったり、
業者が持っているコンクリートを流し込む型枠が使えず、新たに作る費用が発生する場合もあります。
使用するコンクリートと鉄筋の量も増えるので、高額になる事もあります。
家の1階部分を柱などで高くして駐車場にして、2階に生活空間を配置する「ピロティ構造」の家も、同様なメリット・デメリットが発生します。
防水性の塀で家を囲む
防水性の壁で家の周囲を囲むことで、外からの浸水を防ぎます。
開口部分には門扉や止水板を設置します。
外からの視線を防ぐ塀をそのまま防水壁として利用できます。
デメリットは、水圧に負けない頑丈さが必要な事と、自分の敷地や、屋根に降る大雨などで防水壁の中の水位が上昇しないために排水計画も必要です。
防水性の外壁を設ける
外壁を防水性とすることで、建物への浸水を防ぎます。
1階の外壁をRC造にしたり、防水塗料を塗布して防水性を高めます。
床下換気口や、玄関など水の侵入経路の止水が必要です。
一条工務店の耐水害住宅はこの方法かと思います。
デメリットは、費用がかさむ事と、水の侵入経路の把握と止水の方法です。
4つの対策を踏まえて 水害に備える家
以上の対策は、それぞれ効果的ですが、予算や、土地の状況によっても出来ない対策もあるでしょう。
さらには、水害の規模や浸水の水位によっては、安心するには不十分だと思います。
私が家を建てた土地は、ハザードマップでは水害の浸水想定0.5m~3m未満の区域です。
最大3mと想定すると、どれも安全ではありません。
そこで、どんな家を建てるのか?で、選んだのが耐水害住宅となりました。
どのハウスメーカーで家を建てるのか?
家造りを始めて、住宅展示場など見学するようになり、耐水害住宅の存在を知ったのが、一条工務店の住宅展示場でした。
建設予定地が、水害のリスクがある土地だとは知っていましたが、耐水害住宅を知ったきっかけで、改めてハザードマップを調べ、最大の被害では、想定以上の水深になることが分かったので、
それから、耐水害住宅について調べました。
結論を言うと、耐水害住宅を販売しているハウスメーカーは一条工務店しかありませんでした。
水害で水に流されない丈夫な鉄骨ハウスメーカーなどは、いくつかありましたが、建物の全壊・半壊などを免れる丈夫な家と言う意味です。
水害被害で最も多い被害が、床上浸水及び床下浸水になります。
実際に浸水を防げるハウスメーカーを調べると、一条工務店とユニバーサルホームでした。
水害対策に特化し、耐水害住宅を販売している一条工務店。
そして、床下を無くした事で、床下浸水が無いユニバーサルホームです。
もちろん、耐水害住宅だからと言って、必ず安全だとは限りませんが。
一条工務店を選んだ理由が、浸水を防げる事です。
耐水害住宅にしないで、床下浸水などの被害にあってしまったら、どんな復旧をするのか?
そこまで調べて、なぜ私に耐水害住宅が必要なのか理由がわかります。
なぜ耐水害住宅が必要か?
私達が、耐水害住宅を必要とした理由に、もし水害があった時の復旧作業などがあげられます。
私達が建てた耐水害住宅浮上タイプは、水位が1mを超えるあたりから浮上し始めて、係留装置でポールとつながっていることで、流されず安定して浮き上がり、着地するらしいです。
また、家の中に設置されているセンサーで浮上などを感知すると、一条工務店本社で確認でき、復旧に駆けつけてくれるとの事です。
ギネスも認めた会社で、復旧に来てくれるので頼もしいです。
最悪の被害にあった時に、生活の基盤である家が、すぐに復旧してくれれば、いつもの生活にいち早く戻る事が出来ます。
復旧にかかる費用は自費になりますが、建物をもう一度ジャッキアップして、下に挟まったゴミや泥の除去、清掃などを含めて20~30万程度掛ります。
家が浮き上がるのは、水位が1mを超す水害なので、火災保険の水災保障に加入しておけば補償の対象なので保険金が支払われます。
一方、耐水害住宅ではない家だと、浸水してしまうと復旧に時間と費用が掛かってしまいます。
さらに、もしかしたら水害で保険金を受け取れないかもしれません。
水害の被害では、建物の全壊・半壊・一部損壊など、家自体が壊れたり傷ついたりすることと、家の浸水状況で、床上まで浸水するかどうかで、床上浸水と床下浸水に分けられます。
水害時の被害で、最も多いのは床下浸水になりますが、床下浸水で補償を受けるには条件があります。
では、水害の保険とはどのような物でしょうか?
火災保険に水災保障を付ける事で、水災で保険金を受け取る事が出来ますが、補償の条件などはどんなものでしょう。
十分ではない火災保険の水災保証
火災保険の水災補償では、台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等の
水による災害が原因で、建物や家財が所定の損害を受けた場合に補償が受けられます。
ですが、多くの火災保険の水災保障で、床下浸水は保障の対象外となっており、保険金を受け取る事が出来ません。
主な火災保険では水害での補償条件を次のように定めています。
- 床上浸水である場合
- 地盤から45cm以上の浸水がある場合
- 再調達価格の30%以上の損害がある場合
浸水の被害があっても、条件に満たない床下浸水のおおくの場合は火災保険の補償を受けられません。
復旧の費用は、実費での負担を強いられることになります。
耐水害住宅の必要性は、もしもの水害での復旧にある。
もしも水害があった場合、床下浸水の復旧作業にかかる費用は、一般的な住宅で30~60万円ほどです。
作業内容は、排水と清掃・乾燥・消毒の作業が必要です。
床を剝がして作業しなければならない場合は、さらに床の張り替え費用が必要になります。
保険の補償が受けられない場合は、自費になります。
加えて、エアコンの室外機や、エコキュートなど屋外の設備なども修理や交換が必要になります。
耐水害住宅の必要性は、もしかしたら復旧の時に感じられるのかもしれません。
浸水しない家、排水口からも逆流なし、屋外の設備も水没せずに、一条工務店の社員が助けに来て、すぐに復旧できる住宅であると言う事。
いつもの生活をすぐに取り戻せる、耐水害住宅の必要性は復旧にあります。
いつ家を建てるのか?
温暖化、異常気象、大型台風、ゲリラ豪雨、線状降水帯など、大雨や水害の原因は多く、
また、規模や数も年々増えてきている様に思えます。
もはや、いつ、どこで水害が起きるのか分かりません。
これから家を建てる計画がある方は検討してみてもいいかもしれません。
ですが、まだまだ実績があるとは限りません。
実大実験で、住宅の耐水性や水害対策の照明は出来ましたが、発売されたばかりの商品ですので、実際の水害ではたして大丈夫なのかはちょっと不安でもあります。
一生に一度の家造り、じっくり見極めて進めることが重要で、水害対策よりも、もっと家造りで必要な事はたくさんあるかもしれません。
耐水害住宅にすると出来なくなることも増えます。
しっかり情報を収集して賢い家造りをしましょう。
家造りは、今すぐ家が建って住めるわけでもないので、ある程度の期間と準備が必要です。
私達が一条工務店で、耐水害住宅の浮上タイプ、グランスマートで家造りを始めて、
引き渡しされ実際に住むまでに、1年9か月ほど掛かりました。
家造りの流れ、期間が分かる記事はこちら
グランスマートの家造り 流れを知って失敗しない!
では、実際に耐水害住宅はいくらぐらいで建つのでしょう?
いくらかかるのか?
耐水害住宅にするにはオプションで追加費用が掛ります。
スタンダードタイプで坪単価+1.5万円程度
浮上タイプで坪単価+3万円程度になります。
耐水害住宅になると、ベタ基礎になりさらに追加費用が掛ります。
我が家は、浮上タイプなので、電気の引き込みの為のポールも追加でした。
高いオプションではありますが、これまでの記事で考察してきた事で、納得して建設出来ました。
どうやって建てるの
実際にどうやって耐水害住宅を建てたのかは、このブログ内で記事を書いていきますので、参考程度に覗いてくだされば幸いです。
耐水害住宅については、まだまだ棟数も少なく、実際に建てた情報も少ないので、どんどん解説記事を出していきたいと思います。
耐水害住宅は、一条工務店のグランスマート・アイスマート又はアイキューブの商品に、オプションで追加して、耐水害住宅にします。
私達は、グランスマートにオプションで耐水害住宅の浮上タイプを追加しました。
グランスマートの家造りの流れ の記事や、
グランスマートの 外部仕上げ編 キッチン設備編 内部仕上げ編 設備編
なども合わせてごらんください。
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